介護情報ネットワーク協会 「介護する人」「される人」をつなぎたい
Care infomation network association
Care infomation network association お問合せ 協会概要 サイトマップ
ホーム
利用会員チャンネル
一般会員チャンネル
勉強会のご案内
評判施設ご紹介
連載コラム
ちょっとひといき
福祉チャンネル
リアルプレイヤーのダウンロード
動画をご覧頂くにはリアル
プレイヤー(無料)が
必要です。

介護ベッドの選定

 ベッドの構造と種類

在宅にかかわっている訪問看護婦さんやヘルパーさんからの相談で「ベッドに寝ているのだけれど立ち上がりにくくて」とか「ベッドは既に使われてるがうまく使えなくて」と言ったお話をお伺いし、そのお宅を訪問したら豪華な木製ベッドであったり通販の簡易ベッドであったりすることがよくあります。在宅で高齢者や障害者が快適に生活をするためのベッドとして必要な条件があります。
概ねベッドの種類を分類すると
@ 家具ベッド(DomesticBed)
A 安楽ベッド(ComfortBed)
B 介護ベッド(DomesticNursingBed)
C 病院ベッド(HospitalBed)
D 特殊ベッド(SpesialBed)
に分けられます。

 間違いだらけの使用法

(A)ギャッジアップ機構(背上げ機構)
ベッド・メーカーのカタログを開くと、必ずといって良いほどベッドの上で背中を起こして本を読んだり、飲み物を飲んでいたりと言う写真があります。
しかし、北欧の看護教則本では絶対にしてはいけないこととされています。もちろん、健常で元気な方がしても問題ないのですが、お元気な方が数十万も出して介護ベッドを購入されるとは思えません。褥瘡が起こりえる長期臥床(寝たきり)の方には、ベッドの背もたれの角度を長時間30度以上に上げるのは絶対に避けなければなりません。
ではなぜ背上げ機構が付いているのでしょう。前述の北欧の教則本では、ベッドの乗り降りの補助として背もたれを動かすとされています。

(B)高さ調整機構(ハイロー機構)
これも、上記の背上げ機構と同じく間違った使い方がされていることを多く見られます。メーカーのカタログにはベッドの高さが上がることによって、清拭などで介護する人の腰部の負担軽減とされています。これも副次的利点の一つですが、北欧の教則本ではベッドの乗り降りの負担緩和とされています。

(C)膝上げ機構
最近3モーターベッドが多く出回るようになってきましたが、背もたれをあげたときの身体の下方へのずれ防止としての効果は大きいのですが、そのためには、まず膝を上げてから背中を上げるという順番を守らなければ意味がありません。これは3モーターの場合で、2モーターの場合は脚部が背もたれに連動するので、この限りではありません。ただし、連動の場合は背もたれを動かしたときに脚部がいかに早く動き始めるかが見分けのポイントの一つです。

(D)その他の付属品
○ サイドレール(ベッド柵)
上方に抜けやすい構造なので歩行のための手すりとして使用しないでください。手すりとしてはベッド本体に固定できる介助バーを利用してください。
○ キャスター
○ テーブル(オーバーテーブル)

ベッドの上での飲食は嚥下困難稲荷易く、褥瘡防止の観点からもギャッジアップによる座位は好ましくありません。
なお、構造上サイドレールの上縁に置いてあるだけですので急にがはずれ熱い味噌汁等を身体に浴びる危険性があります。

 ベッドの材質と構造

(A)全体の材質・・・体重、障害の程度で選ぶ
@ 金属製
A 合成樹脂製

(B)電動か手動か・・・本人又は介助者、痴呆の程度
これも、上記の背上げ機構と同じく間違った使い方がされていることを多く見られます。メーカーのカタログにはベッドの高さが上がることによって、清拭などで介護する人の腰部の負担軽減とされています。これも副次的利点の一つですが、北欧の教則本ではベッドの乗り降りの負担緩和とされています。

(C)床板の材質と構造
@ ネット床
A 鋼板床
B 合成樹脂

(D)床板の分割・・・身体へのフィットと端座

これまではベッド(特に機械部分)についての選択法について述べましたが、長期臥床(寝たきり)の患者さんの場合、マットレスの選定に最重点をおかなければならないですが、現状ではベッドとセットされたものを使用し、その上にエアーマット等を敷くことがほとんどです。
しかし、欧米の病床ではエアーマットは近年徐々に使われなくなっており、昨年秋の国際福祉機器展(H.C.R.)でも外国製の新製品は姿を消しています。
これらの国ではエアーマットの代わりにマットレスの中に何種類かの特殊ウレタン素材を組み合わせたマットレスが主流になっています。このような製品は国産でも各社から続々と新製品が発表されています。エアーマット神話がまだ生きている日本では時期尚早かもしれませんが、数年後には現在の形式のエアーマットは特殊なものを除いて減少していくことは間違いないでしょう。
褥瘡の詳細については、今回のご説明では省きますが、福祉用具での除圧については在宅医療関係者はもっと広い視野で見ていく必要があります。

 マットレスの材質

@ コイルスプリング
A ポリエステル樹脂(平面に圧縮)
B     〃   (波状に圧縮)
C ウレタン素材
D 特殊ウレタン素材
E 複合素材

 褥瘡予防用具のウソ

 エアーマット

エアーマットは全身的な除圧を図る一般的な方法で広く導入されていますが、空気の入れすぎでパンパンになっているケースや、反対にほとんど空気の抜けたケースも在宅の現場では良く見かけます。中にはベッドのマットレスよりエアーマットの方が硬いこともあります。これでは除圧どころか加圧しているともいえます。
ほとんどのエアーマットが外部の電動ポンプ(ゴムチューブでつながったダイヤルの付いた四角い箱)で空気の流入量を調整していますが、このダイヤルに子供が触れたり介護者の体が当たったりして目盛りが下がってしまうことがあります。
また、体重の数字にあわせて空気の流入量を設定していますが、この数字を盲信せずダイヤルを操作して個別にあわせる必要があります。特に痩せたり側臥位の場合は体重より軽い設定でセットしましょう。
これらの空気の過不足を防ぐためにもエアーマットを使用しているケースでは「ハンドチェック」が必須です。
エアーマットの中でも「エアー噴出型」は避けましょう。常時空気が出て行くためにエアーマット内圧が高めに設定され、除圧効果が著しく減少します。メーカーではエアーマットから噴出する空気で褥瘡に効果があるといっていますが、特別な状況を除いて皮膚を乾燥させることはデメリットの方が多いと思われます。また、MRSA等を拡散させる恐れも考えられます。

車いすの座面やベッドで円座を使用しているケースも病院から在宅まで良く見かけるものですが欧米では既に使用されなくなっている用具の代表です。
@ 動脈は深部、静脈は浅部にあるためドーナツ型の円座の円周で静脈だけが圧迫されると創部の鬱血を生じる。
A 円座を当てた中央部の皮膚が引っ張られ創部の虚血を生じる。
B 円座による深部組織のずれと圧迫が起こる。
C 創部に疼痛はなく周囲皮膚に疼痛があることが多いため、患者が創部に円座の硬い円周部を当ててしますことがある。
円座は健康な若年層の創部を浮かせるためのものであって、皮膚・血管がもろくなっている高齢者への使用は避けましょう。また、小型のエアークッション類(口で空気を入れる多くの穴のあいた緑色のビニールクッション状のもの)も同じ理由で褥瘡の患者には不適応です。





介護情報ネットワーク協会
神戸市中央区伊藤町119 三井生命神戸三ノ宮ビル7階
Copyright (C) 2002 Care Information Network Association. All Rights Reserved.