ウィルス性肝炎の基礎 −A型肝炎・C型肝炎・B型肝炎−
ウィルス肝炎の種類
・血清感染…HBV・HCV・HDV ・一過性感染(急性肝炎・肝硬変)
・特殊性感染(慢性肝炎・肝がん)
・経口感染…HAV・HEV
・一過性感染(急性肝炎)
・集団発生
A型肝炎の基礎
感染経路:経口感染(主にウィルスに汚染された水・食べ物で伝播)
好発時期:冬から春先
潜伏期間:2〜9週
症状 :急激な発熱・全身倦怠感・嘔吐・黄疸
特徴 :時として劇症化をおこす事がある。
B型肝炎ウィルスの感染経路
垂直感染→高率で慢性化(出生時の母子感染)
水平感染→殆ど一過性感染(・性行為感染→急性感染の殆ど)
・外傷からの感染
・麻薬注射
・さまざまな民間治療
浴槽水における感染症 −レジオネラ−
〇レジオネラ症
レジオネラ症とは乳幼児、高齢者、病人など抵抗力が低下している人が罹 りやすい傾向にある。
・レジオネラ肺炎
潜伏期間2〜10日で高熱、悪寒、筋肉痛、吐気、意識障害等を主症状 とする肺炎で、時として重症になる場合がある。
・ポンテアック熱
潜伏期間1〜2日でインフルエンザに似た非は肺炎型熱性疾患で、発熱、 悪寒、筋肉痛等が見られ、一般的に軽症で数日で軽快する。
〇レジオネラ症の感染源
・冷却塔
・循環式浴槽(24時間風呂、温泉利用施設等)
・家庭用加湿器(超音波式)
・修景施設(人口の滝、噴水等)
温かく栄養分のある水が循環する施設内では壁面や配管内部に生物膜が形 成されやすく、アメーバなどの原生動物が、生物膜内で繁殖しやすい性質 がある。
〇レジオネラ症の感染経路
・エアゾル(目に見えない細かな水滴)
レジオネラ症は、人から人へ感染するような伝染性疾患ではなく、共通 の感染源から複数の人が感染し、発症するという特徴がある。
〇日本における発症例
|
場所 |
原因 |
感染者(死者) |
平成8年1月 |
東京の病院 |
加湿器・給湯器 |
新生児3(1) |
平成10年5月 |
東京の特養 |
循環式風呂 |
老人1(1) |
平成12年3月 |
静岡の温泉施設 |
温泉 |
利用者23(2) |
平成12年6月 |
茨城福祉センター |
入浴施設 |
利用者45(3) |
平成14年1月 |
東京の銭湯 |
薬湯 |
利用者1(1) |
平成11年4月1日より「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され、レジオネラ症が四類感染症に指定された。レジオネラ症と診断した医師は診断後7日以内に最寄の保健所に届けることになった。
〇循環式浴槽の維持管理について
・設定段階から適切な衛生管理が可能となるよう配慮する
・製造者はシステム全体の安全性に関する管理マニュアルを作成し維持管理者 に指導する。
・浴槽水をシャワー、打たせ湯などに使用しない。
・気泡ジェット等のエアゾル発生器具の使用は避ける。
・塩素剤による浴槽水の消毒を行う場合、遊離残留塩素濃度を0.2〜0.4mg/Lを 1日2時間以上保つ。
・浴槽の換水は、衛生管理の水準を保つよう定期的に行うことが望ましい。
・浴槽の全換水を行う場合は、塩素剤による洗浄・消毒を行った後に、浴槽の 清掃を実施する。ろ過器を設置した浴槽の場合には、ろ過装置、配管を含め た洗浄、消毒を行う。
・浴槽内部、ろ過器等の毛髪、あか及び生物膜の有無を定期的に点検・除去。
・レジオネラ属菌の検査を感染因子の点数を目安に定期的に実施。
〇レジオネラ属菌の衛生基準
レジオネラ属菌には法的な衛生基準はないが、平成11年11月厚生省生活健康局企画課監修の「新版レジオネラ症防止指針」が発行されている。
〇表1 感染因子の点数
(1)エアゾル化の要因 |
1) |
給湯水・浴槽水・修景用水など |
1点 |
2) |
冷却塔水 |
2点 |
3) |
加湿器・シャワー水・過流浴浴水・打たせ湯等 |
3点 |
(2)環境の要因 |
1) |
通常環境 |
1点 |
2) |
人口密度が高い場所
エアゾルが集中的に流れ込みやすい場所等 |
2点 |
3) |
閉鎖環境・設備の陳旧化等 |
3点 |
4) |
加湿器を利用 |
4点 |
(3)宿主側の要因 |
1) |
健常人 |
1点 |
2) |
喫煙者・呼吸器疾患患者等 |
2点 |
3) |
高齢者・新生児・乳児等 |
3点 |
4) |
臓器移植患者・白血球減少患者・免疫不全患者等 |
4点 |
〇表2
スコア |
細菌検査の回数 |
3点以下 |
常に維持管理に心がけ、必要に応じて細菌検査を実施 |
4〜5 |
1年以内に1回以上、設備の稼動初期に細菌検査を実施 |
6〜7 |
1年以内に2回以上、設備の稼動初期・稼動期間中に
細菌検査を定期的に実施 |
8点以上 |
1年以内に3回以上、設備の稼動初期・稼動期間中に
細菌検査を定期的に実施 |
〇レジオネラが検出された場合の措置
1)人が直接吸引する可能性がない場合
100CFU/100ml(CFU:Colony
Forming Unit)以上のレジオネラ菌が検出された場合、直ちに清掃・消毒等の対策を講じる。
また、対策実施後は検出菌数が検出限界(10CFU/100ml未満)以下であることを確認する。
2)浴槽水・シャワー水等を人が直接吸引するおそれがある場合
レジオネラ属菌数の目標値を10CFU/100ml未満とし、レジオネラ属菌が検出された場合、直ちに清掃・消毒等の対策を講じる。
また、対策実施後は検出菌数が検出限界以下であることを確認する。
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