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  代表理事が記事掲載されました。[2006/04/16]

転→展→天職 (回り道をしてつかんだ働く実感)No151

 点灯の瞬間、連れてきたお年寄りたちが「あっ」と息をのんだ。夜の街を色とりどりのきらめきで包む、神戸「ルミナリエ」。糟谷有彦さんが、どうしても見せてあげたかった光景だ。

糟谷さんが代表を勤める「株式会社シーナ」は、ITソリューションを軸に介護保険業務を支援する会社だ。認知症高齢者などがリハビリできるデイサービス施設も運営している。この夜、付き添ったお年寄りは、いずれも施設に通う利用者だ。「僕の半生は本当に『転展天職』ですわ」と笑う糟谷さん。大手自動車販売店、臨床検査会社、印刷会社、コンピュータメーカー代理店−。営業のプロとして手腕を買われ、職場を転々としてきた。当然、モノだけでなく、インフラ整備やソリューションサービスを手がけた事もある。

 運命を変えたのは「父危篤」を知らせる一本の電話だ。脳梗塞で倒れた父親は幸い一命はとりとめたが、寝たきりとなってしまった。心配した糟谷さん一家は神奈川県から故郷の兵庫県へと戻った。

 ところが帰ったものの、連日の残業で面倒は見られない。妻は幼児を抱え、身動きが取れなかった。「結局、母一人に世話を任せざるをえなくて。すると今度はその母親が胃がんになりましてね」。  これ以上在宅介護は出来ない。糟谷さんは父親のため、必死で介護施設を探した。だが、認知症が進行していたこともあり、受入れ先は見つからない。ようやく特養に入所が決まったが、心労を募らせていた母親はまもなく他界。

 介護保険制度がスタートしたのは、その翌年だ。「神様を恨む気持ちでした。もう一年早かったら、と。なにもできなかった自分への悔しさもありました。」

 介護を応援するビジネスをやろう−。そう決心した糟谷さん。そこで勤め先の仲間と構築したのが、介護事務を支援するシステムだ。ケアプランから介護報酬請求書まで簡単に作成できる。サーバーで一元管理するので、法改正にも迅速に対応できるのが特徴だ。

 独立後、代理店として業務を継続。これを手始めに、システム開発、印刷サプライ、福祉機器販売など次々に事業展開をしていった。「本当は父と母にもルミナリエを見せてやりたかった」両親にしてやれなかった事を大勢のお年寄りにしてあげたい。後悔がちくりと胸を刺すたび、糟谷さんは明日への闘志を奮い起こすのだ。



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